ジョージアの治安状況に関する比較検証レポート:移住先としての安全性
不動産購入、特に移住を目的とする場合、その土地の「治安」を重視するのは極めて自然なことです。日本人は諸外国と比較しても、現地の治安状態を厳しい目で見極める傾向があります。 外国人移住者に寛容な法制度を整え、積極的に受け入れを推進しているジョージアの治安は、一体どのような状況なのでしょうか。 本記事では、移住先として人気のあるタイやフィリピンとジョージアの治安を比較・検証します。データについては、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)等の公的機関による信頼性の高いレポート、およびNumbeoによる治安ランキングを引用して解説します。
1. 殺人率の比較
国の治安状態を把握する基礎的な指標として、「人口10万人あたりの殺人発生数(殺人率)」が用いられます。国連薬物・犯罪事務所(2023年)の報告書によれば、世界平均の殺人率はアジアが2.3人、ヨーロッパが2.2人となっています。
ジョージアの殺人率は、アジア・ヨーロッパ双方の平均を下回っています。ジョージア統計局(Geostat)の最新データ(2025年)によると、年間の殺人件数は73件でした。ジョージアの推計人口(約370万人)から算出すると、殺人率は10万人あたり約2.05人となります。この年は例年に比べ犯罪件数が一時的に増加した時期であることを考慮すると、平時の数値はさらに低い水準で推移する傾向にあります。
主要な移住候補国であるフィリピン・タイと比較すると、その差は顕著です。
フィリピンの場合: フィリピン警察の発表によると、2024年の殺人数は4,490人でした。同年の推計人口(1億1,272万9,484人)に基づくと、殺人率は約3.98と算出されます。当局は改善傾向にあると強調していますが、現時点ではジョージアの治安水準には及びません。
タイの場合: タイ統計年鑑(2024年版)および国連人口基金のデータから算出すると、2024年の殺人数は合計1,733人。推計人口7,100万人とした場合、殺人率は約2.42となります。ジョージアと比較してやや高く、近年のタイでは殺人数が増加傾向にある点に留意が必要です。
2. 組織犯罪の比較
組織犯罪の浸透度を測定する「グローバル組織犯罪対策イニシアティブ(Global Organized Crime Index)」の2025年度報告書において、ジョージアは極めて高い評価を得ています。この指数は、犯罪組織の影響力や政府による対策の有効性を数値化したもので、スコアが低いほど安全であることを示します。
| 国・地域名 | 組織犯罪スコア | 世界順位(低いほど安全) |
|---|---|---|
| ジョージア | 3.87 | 158位 |
| タイ | 6.37 | 39位 |
| フィリピン | 6.57 | 33位 |
| アジア平均 | 5.47 | - |
| ヨーロッパ平均 | 4.74 | - |
ジョージアのスコアはアジア・ヨーロッパ双方の平均を下回っています。調査対象193カ国のうち、ジョージアより組織犯罪の脅威が少ないと判断されたのはわずか35カ国に過ぎません。特筆すべきは、本調査においてジョージアが日本よりも「組織犯罪の影響を受けにくい安全な国」として位置付けられている点です。
この良好な成績の背景には、2000年代以降に実施された強力な汚職防止策と、かつて地域を支配していた犯罪結社「法律に則った泥棒(Thieves in Law)」に対する徹底的な掃討作戦があります。現在、犯罪組織が政治や日常生活に介入する余地は極めて限定的であり、国家ガバナンスが健全に機能している証左と言えるでしょう。
3. ユーザー意識調査に見る「体感治安」
世界最大級の都市データサイト「Numbeo」の治安指数は、居住者や旅行者の実体験に基づく「体感治安」を反映する指標として広く参照されています。
図1. Numbeoの治安マップ。
Numbeoの世界治安マップにおいて、ジョージアは治安指数「73.8」を記録し、極めて安全であることを示す深い緑色で表示されています。これに対し、タイは「63.37(淡い緑)」、フィリピンは「56.7(黄色)」に留まっています。
世界ランキングにおいてもジョージアの評価は際立っています。
国別ランキング: ジョージアは150カ国中21位という高順位を獲得(タイ48位、フィリピン68位)。
都市別ランキング: 首都トビリシは全403都市中、安全指数74で29位にランクインしました。これはバンコク(82位)やマニラ(マカティ:81位、ケソン:208位)を大きく上回る好成績です。
結論
客観的な犯罪統計、および主観的な体感治安の双方において、ジョージアの治安水準は他の主要な移住先を圧倒しています。世界の観点から見ても非常に安全な国であり、その首都は世界トップクラスの治安を維持していると結論付けられます。移住や不動産投資を検討する上で、ジョージアは極めて魅力的な選択肢であると言えるでしょう。

